マーチスーパーターボ、エンジンのスーパーチャージャー&ターボばかりに目が行くが、実際、車体が元々大して重くない。ソコに大して補強もせずに、スーパーチャージャー&ターボという、ツインチャージユニットを突っ込んだから、車体の容量不足感がハンパなかった。
当時は、R31スカイラインでも約200馬力で1,350キロくらい、Z31フェアレディZもよりパワーあっても車両重量もあった。ソコに、マーチスーパーターボ、110馬力に約800キロ、ヘタすればZと同等に近いパワーウエイトレシオになったのだ。
実際、通常の加速はトルクウエイトレシオで計る方が、よりリニアな評価になる。スカイラインなら45くらい、マーチなら50くらい、かなり近い数値なのだ。
当時の営業車両が、マーチスーパーターボだったし、お客様の修理車両がマーチターボだったので、直に違いを感じるコトがデキた。ブーストメーターで負圧の時にスーパーチャージャー側のランプ、正圧になるとターボ側のランプが点き、メーターの針がハネ上がった。加速感が下から上まで見事だった。
ちなみに、当時はS12シルビアRXE、車両重量980キロに110馬力にトルク約18キロくらい、パワーウエイトレシオ/トルクウエイトレシオは9/55。厚木に移ってS12シルビアRS、車両重量1,100キロに150馬力にトルク約20キロくらい、パワーウエイトレシオ/トルクウエイトレシオは7.5/55くらい。
何故、馬力に大差あっても、実用加速でそれほど差がつかないのか、トルクウエイトレシオで比較すると、意外とわかりやすい。
ただ、スーパーチャージャー&ターボのツインチャージャーは、トヨタのSW20型MR2らでもウワサになったが、結局、採用されるコトはなかった。
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よくこんなクルマ作ったな…マーチスーパーターボという傑作
11/1(月) 7:00 Yahoo!ニュース
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ベストカーWeb
日本のクルマ業界がもっとも輝いていた80年代。ハイソカーブームやデートカーブームなど、いろいろなクルマが売れまくっていた時代であったが、「ホットハッチ」と呼ばれるFFハッチバックもまた、胸アツなジャンルであった。
【画像ギャラリー】1989年登場のマーチスーパーターボと、同年代のホットハッチたち
なかでも、「マーチスーパーターボ」は、その名の通り、エントリーファミリーカーであったK10型マーチをベースにつくられたモデルで、国内のレースで大活躍し、ファンを熱くさせていた。「マーチスーパーターボ」とはどんなクルマだったのか、振り返ってみよう。
文:吉川賢一
写真:NISSAN、HONDA、TOYOTA、SUZUKI、DAIHATSU、ISUZU
リッターあたり118ps越えのハイパワーエンジンを搭載
排気量930cc、最高出力110ps、最大トルク13.3kgmを発生するMA09ERT型エンジン。リッターあたり118ps越えは相当パワフルだった
K10型初代マーチの登場は、1982年のこと。3760×1560×1395(全長×全幅×全高)mm、ホイールベース2300mmと、今のクルマと比べて、2周りほど小さいが、日欧市場に向けた、エントリーユーザー向けのコンパクトなFFハッチバック、という立ち位置は、現行のK13型マーチとも変わらない。
いまと違うのは、当時はモータースポーツ熱が高かった時代であり、このK10マーチが、単なるエントリーコンパクトカーに終わらず、これをベースとしたスポーツバージョンが続々と誕生した、ということだ。
まず、1985年2月のマイナーチェンジの際、3ドア車にターボを設定したスポーツグレード「マーチターボ」が登場。最高出力は85ps、最大トルクは12.0kgmを達成していた。その3年後となる1988年、当時流行していた全日本ラリー選手権向けのレース車両として、ターボとスーパーチャージャーという2つの過給機を持つ「マーチR」が登場する。
このダブルチャージシステムは、当時としては非常に珍しいもので、エンジンの低回転域ではスーパーチャージャーによる瞬発力を、高回転域では高い出力を得ることに成功していた。エンジンスペックは、最高出力110ps、最大トルク13.3kgmを発生。排気量930ccのエンジンなので、リッターあたり118ps越えはなかなかパワフルだった。トランスミッションは、クロスレシオの5速MTで、フロントにはビスカスLSDも標準装備であった。
ちなみに、FIAの競技規則変更に対応するため(ターボ係数1.7として排気量1.6Lクラスに参戦するための対応)、ベース車のMA10S型 987ccエンジンの排気量をダウンさせ、930(MA09ERT型)へとコンパクト化しているが、マーチの小さなエンジンルームに、過給機を押し込んだことで、パワーステアリングを載せるスペースすら捻出できず、重ステ仕様となっていた。
そのレース仕様の「マーチR」を一般ユーザー向けとして、内外装を仕立て直し、1989年1月に発売したのが、「マーチスーパーターボ」である。
じゃじゃ馬FFを乗りこなす楽しさが味わえた
マーチRのインテリア。レーサーの定番装備でもあった3連メーターや、MOMO製の3スポークステアリング
「マーチスーパーターボ」は、エンジン自体はマーチRと同じく、930のターボ+スーパーチャージャーであったが、5速MTに加えて、3速ATも用意されていた。ボンネット上についたエアインテークやグリルに埋め込まれた円形フォグランプ、コンパクトなリアウィングなど、無骨ながらも戦闘力の高さを表すようなエクステリアデザインは、いま見てもカッコいい。
インテリアにも、定番装備の3連メーターや、MOMO製の3スポークステアリングなど、レーサー気分を盛り上げるアイテムが奢られていた。
車両重量770kg(カタログ値)という超軽量で、その走りは痛快そのもの。その反面、エンジンパワーが高いことで起きるトルクステアや、コーナーでアクセルオフした際のタックインが強いなど、弱点もあったが、運転好きにとっては、それを乗りこなす楽しさも、このモデルに惹きつけられる要素であったようだ。
モータースポーツへの情熱は持ち続けてほしい!!
全日本ラリーのベース車として、1988年に登場したマーチR。Rのロゴマークが眩しい!!
車両本体価格は5速MTが115万3000円、3速ATが116万9000円。マーチスーパーターボ登場の1989年は、大卒初任給が16万円ほど、現在(2021年)は22万6000円(厚生労働省による2020年調査結果)と、今と当時とでは状況が異なるが、それにしても「安い」といえるモデルだった。現在では、中古車オークションでもほとんど目にすることが無い、レアなクルマとなっている。
日産は、このK10型のころから、マーチのワンメイクレース「マーチカップ」を開催するなど、モータースポーツ活動を長年続けてきたが、「マーチカップ」は昨年11月には遂に終了となってしまった。スキルアップを図れる入門レースとして、幅広いユーザーに愛されたマーチカップの功績は大きく、終了は大変残念だ。
マーチスーパーターボのような、「ぶっ飛んだホットハッチ」が誕生することは二度とないだろうが、このマーチスーパーターボや、マーチカップの功績を忘れることなく、いつの日か、日産がマーチカップのようなレースを復活させてくれることを願っている。
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