水島新司キャラクターの投票、ドカベンの殿馬と岩鬼と山田の1-2-3だった。
岩鬼は、中3から高2まで"厄介者"キャラ、タマにヒーローだった。悪球打ちはタマに意外な作用をした。高1夏、優勝のツーランは緒方から打った。それが、高3で太平監督からキャプテンに指名されて、カラ回りしなくなった。ドラフトでは、他球団が山田太郎を1位指名する中、王貞治ダイエーと長嶋茂雄巨人が岩鬼を取り合った。
逆に、殿馬は素晴らしい守備、数々の秘打で名場面を演じた。高2春決勝、負傷山田の前、犬飼弟から逆転サヨナラツーランは秘打"ショパンの「別れ」"だった。ハイジャックに遭い、肩を射たれたコトもあった。白新不知火の集中攻撃を凌ぎ、里中12回ノーヒットノーランを支えた。弁慶武蔵坊の打球も止めたし、山田へのバックホームもカレだった。プロピアニストになると目され上位指名なく、オリックスに入った。
プロでは、岩鬼は、新人開幕プレーボールホームランを打ち、新人ホームラン王にもなった。伊東を本塁クロスプレーで負傷させ、山田捕手起用を早めた。
殿馬は、イチローと1・2番を打ち、チームを攻守で支えた。優勝の年、最終戦までイチローと同打数同安打で並び、日ハム不知火から最後のヒットで出たイチローを盗塁仕掛けさせ、送りバントでアウトになる間に、イチローが一気にホームインし、優勝を決めた。
山田太郎、ドカベンの主人公だが、甲子園優勝の決め役は高1夏は岩鬼、高2春は殿馬、高2夏は目の前で義経にホームインされた。高3キャプテンは岩鬼になり、太平監督の信頼のファーストも岩鬼だった。ただ、高3春夏共、山田の全試合ホームランで決めた。
プロ入りが西武になった時、伊東を肩で抜くのかと思ったら、岩鬼を使った。今なら、コリジョンでできなかったろうけど。
しかし、一番気の毒なのは、最強ライバル不知火守だと思う。中学では東郷学園中の小林を破り日本一になったが、神奈川で割と最初のラウンドで明訓と当たっていた。高3夏は神奈川決勝、不幸過ぎた。プロでは日ハムで土井垣とバッテリーで輝いたが、イチロー&殿馬の引き立て役にもなっていた。
土門剛介は横浜で日本一になった設定だったし、中西球道は高3準決勝引き分け再試合やドリームトーナメント決勝も投げた。願わくば、壬生狂四郎にもう一度場面を与えて欲しかった。
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ファンが選ぶ「水島新司漫画・人気キャラクターランキング」トップ20
2/5(土) 8:04 Yahoo!ニュース
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野球漫画の第一人者として名物キャラクターを多く生み出した水島氏の作品。その中で最もファンが支持した選手は?
スポーツナビでは、1月10日に亡くなった漫画家・水島新司氏が描いた野球選手キャラクターの人気投票を実施(投票期間は19日~21日)。投票総数4655票の中から選ばれたトップ20を発表する。
佐藤輝は30発が条件、巨人新55番も注目 谷繁元信が期待するセ・リーグ若手野手は?
1位:殿馬 一人(ドカベン/二塁手) 1647票
2位:岩鬼 正美(ドカベン/三塁手) 1427票
3位:山田 太郎(ドカベン/捕手) 1248票
4位:景浦 安武(あぶさん/代打・外野手) 1137票
5位:里中 智(ドカベン/投手) 841票
6位:水原 勇気(野球狂の詩/投手) 795票
7位:不知火 守(ドカベン/投手) 623票
8位:中西 球道(球道くん/投手) 447票
9位:岩田 鉄五郎(野球狂の詩/投手) 397票
10位:藤村 甲子園(男どアホウ甲子園/投手) 328票
11位:景浦 景虎(あぶさん/投手・DH) 268票
12位:微笑 三太郎(ドカベン/外野手) 262票
13位:火浦 健(野球狂の詩/投手) 217票
14位:真田 一球(一球さん/全ポジション) 207票
15位:犬飼 小次郎(ドカベン/投手・監督) 205票
16位:土井垣 将(ドカベン/一塁手・監督) 151票
17位:岡本 慶司郎(おはようKジロー/二塁手) 136票
18位:新田 小次郎(光の小次郎/投手) 116票
19位:坂田 三吉(ドカベン/投手・外野手) 107票
20位:土門 剛介(ドカベン/投手) 84票
イチローが1・2番コンビを懇願した「秘打男」
明訓高校不動の2番セカンド、殿馬一人。卒業後はイチロー本人たっての希望でオリックス入り。イチローとの1・2番コンビでパ・リーグを席巻した。
漫画家人生63年。野球漫画を描いて50年、30作以上。そのなかで生み出してきた数多くの「野球選手」から、栄えある人気1位にはドカベンシリーズの「秘打男」、殿馬一人が選出された。
あのイチローも憧れたキャラクターで、『ドカベン』が「プロ野球編」として再始動する際、水島先生にイチロー自ら「殿馬はオリックスに入団させて自分と1・2番コンビを組ませて欲しい」と懇願したほどの選手だ。
「予測不能の秘打で何をするか分からない。私も体が小さいので憧れた」(30代男性)
「個性こそ最強の武器。野球は体力だけの競技ではないと教えてくれた」(50代男性)
「異次元の秘技がたまらない」(30代男性)
独創的でありながら、非力さを補う遠心力打法、秘打「白鳥の湖」を筆頭に、「美しき青きドナウ」「G線上のアリア」などなど、選評でもやはり「秘打」を讃えるものが多かった。『ドカベン』における“ベストバウト”と名高い高校2年春のセンバツ決勝、土佐丸高校戦で放った「優勝決定逆転サヨナラホームラン」の印象も強いのではないだろうか。
山田太郎と並ぶもう一人の主人公
山田・岩鬼・殿馬・里中の“明訓四天王”が全員5位までにランクイン。『大甲子園』が始まるときも、シリーズ最終話でも、大事な場面ではいつもこの4人。
殿馬に続いて2位に選出されたのは、これまたドカベンシリーズから「悪球打ち」でおなじみの岩鬼正美。今でもプロ野球でとんでもないボール球を強振すると、「岩鬼のような悪球打ち」と記事の見出しになるほどだ。
「グワラキーン。真っ直ぐが打てない。守備、走塁、なまり、マンガのヒーローの代表。夏子はん」(40代男性)
「豪快でユニーク、コンタクトしたら真ん中が打てるみたいな特徴が好き」(30代男性)
そんな「悪球打ち」評価と並んで岩鬼に対するコメントで多かったのは、「岩鬼もまた『ドカベン』の主人公だった」という点だ。
「ドカベンは岩鬼と山田太郎の二人が主役だと思う。キャラクター的には地味な山田だけではドカベン人気は無かったでしょうね」(40代男性)
実際、この「もう一人の主人公」という指摘は正しい。水島新司が『ドカベン』の連載企画を編集部に提案した際、顔が隠れるキャッチャーが主人公。しかも寡黙で目が細く、ずんぐりむっくり……という設定に難色を示されたという。
そこで考案したのが山田とすべてが対になる存在、岩鬼正美なのだ。「不言実行の山田」に対して「有言実行の岩鬼」、「静なるキャッチャー山田」に対して「派手で華のあるサード岩鬼」、「正攻法の強打者・山田」に対して「悪球打ちの岩鬼」……シリーズ総決算「ドリームトーナメント編」の最終話が山田と岩鬼の回想だったのもうなずける。
清原「4番打者のあるべき姿を学んだ」
南海ホークス、福岡ダイエーホークス、福岡ソフトバンクホークスと「ホークス一筋37年」バットを振り続けた“あぶさん”こと景浦安武。
そして、その対を成す山田太郎が3位にランクイン。『ドカベン』シリーズ真の主人公の面目躍如、といったところか。
「一番の魅力は、ホームランかな、印象に残るホームランが多いから」(50代男性)
「ドカベンの主人公であるだけでなく、捕手として必要なことは何かを、また打者としての球種の絞り方を教えてくれたから」(60歳以上男性)
「良く読んで、真似していました。特に山田太郎が動体視力の鍛練で、電車から駅の看板を読むのを見て、実際には難しかったのを思い出しました」(50代男性)
あの清原和博が「4番打者のあるべき姿を山田太郎から学んだ」と語ったのは有名な逸話。そんな清原同様、全国の野球少年たちが山田の打撃、練習法から何かを学ぼうとしていたことが今回のアンケートからも改めて浮き彫りとなった。
『ドカベン』中学時代編から登場し続けた山田、岩鬼、殿馬の3人がトップ3を形成し、4位にはもうひとつの代表作、『あぶさん』の主人公、“呑んべえスラッガー”景浦安武がランクイン。続く5位には『ドカベン明訓四天王』最後のひとり、“小さな巨人”こと里中智が選出された。『ドカベン』と明訓高校の強さを改めて感じるランキングと言える。
野球漫画の固定観念の打ち破った水島漫画
『あぶさん』『ドカベン』シリーズと並ぶ代表作『野球狂の詩』。その顔役である二人、“球聖”岩田鉄五郎、“ドリームボール”水原勇気もトップ10入り
以降、『野球狂の詩』の“日本初の女子プロ野球選手”水原勇気と、80歳を超えてマウンドに立った“球聖”岩田鉄五郎。『球道くん』の中西球道と『男どアホウ甲子園』の藤村甲子園という“二大剛球一直線”がトップテンに名を連ねたわけだが、その中で異彩を放つのが7位の不知火守。トップ10で唯一、主人公チームではない敵役からのランクインとなった。
『ドカベン』で山田・岩鬼・殿馬・里中が明訓高校に入学し、最初の公式戦で対戦したのが白新高校のエース、不知火。以降、激戦区神奈川において、何度も明訓と山田たちの前に立ちはだかった。余談だが、「白新」とは水島自身が通った中学校の校名だ。それだけ思い入れが深かったこともうかがえる。そして不知火は、『プロ野球編』以降も常に山田太郎の好敵手として、160キロ超えのストレート、落差の大きいフォーク、ハエが止まる超遅球を駆使し続けた。そんな姿がファンの共感を呼んだのだろう。
「ひたすらに努力するところが好き。運に見放される場面も多く、普通なら心が折れそうな場面でも最後まで相手に立ち向かう不屈の闘志を持っているところ」(30代女性)
「一番山田太郎を苦しめた投手だと思うから。豪速球と超スローボールを使い分けるところもいい。同じ神奈川県でなかったら、絶対甲子園に行っていた」(50代女性)
「水島新司先生の作品の世界では日本一の投手で日本球界の至宝。言動も顔もすべてがカッコイイ」(50代女性)
なぜか女性からの熱いメッセージが多かったのが興味深い。負け続けてもなお立ち上がって成長を続けた姿は、確かにすべてがカッコよかった。
通常、こうした漫画キャラクターのランキングでは、主人公がぶっちぎりで1位になるのがお約束。にもかかわらず今回は、主人公ではない「2番セカンド」といういぶし銀キャラの殿馬が1位となり、敵チームの不知火のようなキャラにも支持が集まる。その多様性は、まさに野球の魅力そのものだ。
水島新司以前、「主人公エースが魔球を投げる」のが定番だった野球漫画の固定観念の打ち破り、「チームスポーツとしての野球の面白さ」を描き続けた水島新司の偉大さを改めて痛感するものとなった。
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